Vol.109 町田・黒田監督の教育

引き続き、Jリーグ町田ゼルビア黒田剛監督のお話。前回はビジネスパーソンにも通ずる組織作りについてご紹介しました。今回は教育面を見ていきます。28年間教員として高校サッカー部の監督を努められた黒田氏。こちらも多くの方に参考にしてほしい内容です。自分事に置き換えてご覧いただけたら幸いです。

 

【教育について】

「プロになったからといって急に得られるスキルや性格的なアドバンテージはない。プロになった途端に何となく出来てるように思えたり、根拠のないプライドに包まれて譲れなくなったり、人の話を聞けなくなる人がいる。実は成長できない要因はプロになったことによって生まれている。指導者は教育が大事。自分たちに矢印を向けられない人(うまくいかないことは人のせい)が多くなってきた。だからこそ教育でどうコントロールするかが大事。一方的に叱ることは良くないし、どういう風にして心を動かしていくかが大事。」

 

⇒企業でも同じですよね。新入社員だけでなく、役職を得ることで急に自分の力が大きく上がったと勘違いする人(笑)どれだけ階級が上がっても常に自分に目を向け素直な気持ちで向上心を持つ。その姿勢を持つことができれば部下の心を動かす指導ができるのではないでしょうか。

 

【練習時、監督は言葉をほとんど発しない】

「皆が言いたいことをあちらこちらでわめき散らしている状況は指導している感が出ているだけ。その時間はムダ。自分の与えられたセッションを担当コーチが責任をもってやる。」

 

「監督は気になる点があれば担当コーチに直接伝える。すべてに監督が介入するとコーチがやることなくなる。それぐらいつまらない現場はない。社長が降りてきて、そこにいる役職者たちが何もすることがない。お株を奪われる、威厳もなくなる、自分のやりがいもなくなる。誰もが面白くない。」

 

「個人でなく組織で戦う。みんなが自分がやったことに対して結果が出たことに喜びや達成感を得る。喜びはひとしお。そのような組織は仮に監督が急にいなくなってもそれぞれ責任を持っているので大崩れしない。皆の平均値をあげていくようにしないといけない。」

 

「組織は一瞬にして崩れ去る。危機感があるから前に進める。一歩進めば必ず一歩分のリスクが起こりうる。そのリスク管理が必要。たった一人のおかしな行動でも、組織が崩れる大きな要因になる。目を配っていかなければならない。」

 

「いい選手がそろっているチームで結果が出せないチームはそこのマネジメントがうまくない。

いいトレーニングができる指導者はたくさんいる。いいトレーニング方法を知っている指導者は沢山いる。それがいい指導者とは言えない。監督だから何でもできるかのようにあれこれ言うのは安易な考え。人間には色々な思考や思惑や習慣があって人が増えれば増えるほどマネジメントが難しい。一つのレールを歩かせるのは難しい。毎日姿、表情を変えるのが組織。

 

⇒前回のマネジメントと重なる部分ですね。是非Vol.108もご一読ください。

 

【昨年、17試合終了時8失点という失点の少なさに触れられ】

「全部防げた失点。8点だから少なかったという感覚は捨てないといけない。点を取られることに対してチーム全体がアレルギーをもたないと。失点癖、負け癖がつくと何も思わない状態になる。

 

2対1で勝った。3対2で勝ったという状況を「勝ってるからいいや」と思っているといつか痛い目を見る。

1対0の勝利が最高に素晴らしい勝利だと感じられるように持っていかないと。0で抑えている限りは1対0も3対0もある。」

 

⇒指導者の徹底的なこだわりが細部に宿るのだと思います。経営者、マネージャー、スポーツの指導者の皆さんが自信を持って徹底している部分は何ですか?即座に答えられない方の組織はあいまいな部分が多いのではないでしょうか。1つでも良いです。絶対のこだわりを持ち徹底的に落とし込んでみたらいかがでしょう。

 

と、教育者の黒田監督からは掘れば掘るほど共感するお話が聞けます。

まだまだサッカーの本質についてのお話しや超合理的と言われる戦術について明確に説明されているインタビューなどもあり大変興味深い方です。改めて黒田監督特集をお送りします(笑)

 

先週末は強豪鹿島アントラーズも撃破し順調な船出の町田ゼルビア。今季注目です!

 

今回も読んでくださりありがとうございました。