Vol.108 町田・黒田監督のマネジメント

第2節を迎えたJリーグ。今期注目しているクラブはJ1初参入の町田ゼルビア。町田は私の育った相模原の隣町でよく遊びに行っていた街。2023年黒田剛監督が就任しました。1995年から2022年まで青森山田高校で監督をされたサッカーファンなら誰もが知る名将です。2022年町田は15位と不調。どのように立て直すのか、高校監督がプロでできるのかと少しの期待と大きな懐疑的な目でスタートした1年目。結果は・・・なんとJ2優勝!クラブを初めてJ1昇格に導いたのです。

 

プロ、アマ問わず勝てる監督には理由がある。そこで黒田監督のインタビュー記事や動画などから理由を探ってみます。明確なコンセプト、合理的なマネジメントなどビジネスパーソンも勉強になるお話が盛りだくさん。黒田監督のお話を紹介し、それについてのコメントをしていきます。

 

【監督として大事にしている事】

「ぶれない頑丈なベース・土台づくり。戻るべきベースがないと負けた時スタートに戻らなければならない。負けが続くとチーム全体がぐらついてくる。

コンセプトを明確にして確信を得られるまでこだわりを持って取り組ませる。

勝利至上主義ではなく、勝利のためにこだわる要素を増やす。」

 

⇒土台は大切ですよね。会社であればビジョンでしょうか。ほとんどの企業がビジョンを掲げていてもビジョンを理解して語れるスタッフはどれだけいるでしょうか。スタッフがいけないのではなくリーダーの問題ですよね。黒田監督はスタッフのせいにする前に、明確にして確信を得られるまでこだわりを持って取り組ませるまで落とし込むまでされておられますね。

 

【コーチングスタッフに対するマネジメント】

『「みんなが一体化すること」監督が頭でっかちになって「あれもできる」「これもできる」「あれやっとけ」というチームだと裸の王様になる。これが組織で一番最悪な状態。

 

企業でも学校でもホームルームなど小さい組織でも神経を使って皆が同じベクトルで進んでいかなければならない。誰一人疎外感がないことが重要。「役割がない」「いてもいなくても一緒」「何をやっていいのかわからない」そういうスタッフが一人でもいることが最悪なこと。

 

それぞれが自分のセクションを確実に責任もってこなしていく。皆が情報を共有していることは良いが、皆で言いたいことを言い出すのは違う。話していることはコーチの達成感や自己満足にすぎない。聞いている人が納得感あったり理解を示すことがコーチングの本質。そのセクションを任されたリーダーが適切な指導、落とし込みをしていく。周囲のコーチはサイドコーチングのみ。それをやりながらリーダーが次のコーチにやるべきことを渡していく。その間に意見を出し合い改善をはかり、またリーダーが落とし込むことを繰り返す。

一人でやるよりもチーム皆で組織を作ることで勝った時の喜びも倍増。負けた時の悔しさも自分に矢印を向けられる。ワンマン指導者の下、負けた時も勝った時も全部監督や社長、リーダーに矢印が向けられるのでなく、それぞれのセクションのリーダーに主導権を持ってやりがいのある仕組みを作るのが指導者。自立した組織ができる。」

 

⇒できない指導者が多いんです。頭では理解しているんでしょうが、仕事を任せられないと。「ミスをされたら困る」「時間がかかる」こんなことを言います。もっと遠くを見ましょうよ。そういう指導者さんだって最初はミスしたでしょう?部下や選手に責任感を与え、やりがいを感じてもらい能力を最大限発揮してもらったら最初のミスなんて帳消しですよ。お釣りがたんまり返ってきます。私は以前上司から「どんなマネージャーを目指している?」と聞かれ「マネージャーが何もしない組織です」と答えて呆れられましたが(笑)社長やリーダー監督なんかは何もしない、口を出さないのが一番ですよ。上司に言われて気持ちよく仕事なんてできたためしがないです(笑)そのためには徹底的に考え方を教育することが必要です。

 

【これらのことに気づいたきっかけ】

「高校監督時代に一人だけでチームを見ている時代が長かった。監督業はもちろん対戦相手の交渉、部員が増えていっても全部自分で見ないといけない。芝の管理やバスの運転手もしていた。分担作業をしたくてもできない経験をすることで分担することの大切さを知った。全部やったからこそ一つ一つの仕事の重みや責任がわかった。いきなりプロチームの監督になったらわからないことだ」

 

⇒黒田監督のような経験はできないかもしれません。でもこれだけ情報があふれている社会。様々な経験をされた方々のお話をタップ一つで見られる時代。あとはどれだけ素直に受け取り自分用に落とし込み、実行できるか。良い話を聞いて「良い話だった」は誰でもできること。良い話を聞いて良いと思ったなら行動してみてはいかがでしょうか。

 

共感することが多すぎてついつい熱くなってしまいました(笑)

実は町田ゼルビアのプレースタイルは賛否別れ良くも悪くも話題になります。

否のコメントを見ると「激しすぎる守備」「ロングパス中心で面白くない」「ロングスローを多用しすぎ」・・・対戦相手のサポーターが嫌がっているということは好意的に受け止めてよいということでしょう。勝利からの逆算で考えられた町田のサッカーを私は好きです。

 

というわけで・・・長くなりすぎましたので次回も黒田監督特集です!

今回も読んでくださりありがとうございました。