Vol.104 サッカー代表監督人事

カタールで行われているサッカーアジアカップ。大本命と目され5回目の優勝を目指した我らが日本代表。惜しくもイラン代表に敗れベスト8で姿を消しました。

 

大会を通じて波に乗り切れなかった印象の日本代表に様々な論評が寄せられています。

その中のひとつが森保一監督のチーム作り。

同じ人が同じことをやっていても勝てば称賛、負ければ非難。今回はおもいっきり非難されている森保監督のマネジメント。「森保監督はボトムアップ型」を前提に話をされる専門家が多いようです。「ボトムアップだから選手任せで指示ができていない」というように。ではボトムアップ型とは?その反対のトップダウンとは?そのあたりをゆるーく触れてみます。

 

ビジネスでよく使用されるボトムアップとトップダウン。ボトムアップとは現場から吸い上げた意見をもとに上層部が意思決定をしていくスタイル。トップダウンは上層部か決定したことを下層部に流しその方針に沿って現場が動くスタイル。共通点しているのは最終決定は上層部ということ。

 

森保監督のマネジメントは選手の意見を尊重し「選手が考える力をつけた」「団結力を高めた」と言われ、先のワールドカップでは決勝トーナメントまで進み称賛されました。

しかし今回のアジアカップでは選手に明確な指示を与えず混乱させたと非難されています。

 

代表の内情はわかりません。ここでは一般的に語れる「ボトムアップとトップダウン論」の問題点をみていきます。

 

そもそもボトムアップ型、トップダウン型の二者択一ではないと考えます。「白か黒か」「0か100か」「右か左か」最近分断なんて言葉を耳にしますが、極端にわけたがります。実際は「グレー」「50」「真ん中」があるのがこの世の常では。

 

ボトムアップのメリットは部下が自分たちで話し合ったという納得感を得られ、モチベーションが高まり、生産性が上がるということでしょうか。

 

でも部下の人たちだって全員が同じ意見であることは少なく、のべつ幕無しに議論が進めばかえって対立が起こるかもしれません。そのためある程度の方向性は必要です。それがビジョン、戦略、目標で、森保監督が言うところの「コンセプト」。この方向性は上司から示されるものです。その方向性のなかで部下が議論をして集約された提案を上司がまとめ決断し、部下に伝え実行します。

結局は上司が決定したことを部下が実行するんです。最後はトップダウンです。

ボトムアップ、トップダウンって一部分を切り取っているだけで大きな目で見れば優秀な指導者は両方やっているんですよね。

 

大事なのは方向性の具体性。話し合いの一致点、上司が一致点を納得させ確実に行動できるような仕組みづくりと明確な指示です。

ただ、これも日本代表のように20人以上の組織になると伝わる人と伝わらない人がいます。それも短期間でトレーニングをやりながら伝えるのは難しいことなのでしょう。

 

結果的に森保監督は「コンセプトは伝えていた」ある選手からは「もっと指示が欲しかった」とかみ合わないコメントがでてきたので、まだまだ改善の余地があるのかとは感じました。

このようなコメントを選手が堂々とできるのは森保監督が作った話しやすい雰囲気の賜物だとも。

 

この前提があってはじめて代表監督にふさわしい人物像を議論できるのではないでしょうか。

森保監督は大人数の組織に短期間でコンセプトを達成するための具体的で有益な情報を的確に伝えることができる人物なのか?ではそれにふさわしい人物はどこにいるのか?などと続投、解任の話になっていくのだと思います。

 

外から見るだけではわかりません。富安選手は会見で「森保監督のために」と口にするくらい選手からは強力な人望があります。「0」か「100」ではなく、70点の人を選ぶ、と言う考えが大事なのでは。

目標がワールドカップ優勝なのでぬるいことも言っていられない気持ちもわかります。

では100点の監督ってどこにいるの?今まで100点の監督なんていたの?

ワールドカップ直前で更迭されたスーパートップダウンの外国人監督がいましたよね。選手からの批判が多かったと聞きます。森保監督が何点かはわかりません。日本代表がワールドカップで優勝するために、持続的に優勝争いをするチームにするために、独自の指標を作って人選すると良いのでは。もちろん日本協会も作っているはずですが。

 

ビジネスの点から見てみるととても難しいけど、参考になる例ですよね。

 自分の所属している組織はどうだろう。自分がマネジメントしている組織はどうだろう。そんな目線で監督人事の議論があると日本全体のマネジメント力が上がっていくのかなと・・・このままではどんどん飛躍していくのでこの辺で。

 

今回も読んでくださりありがとうございました。