Vol.94 38年ぶりのアレのアレ その4

日本シリーズ最終戦からはや3週間・・・いつの話?という話題を今回もお届けします(笑)

38年ぶりなのでお許しください!

 

今年の阪神タイガースの日本一をここ数年における「球団の戦略」に目を向けたシリーズも今回が最終回。

世間で言われている岡田監督に手法は本当に日本一に貢献したのか?という点でお送りします。

 

結論から言いますと答えは「岡田監督の手法は日本一に貢献しました」です。

なんせ日本一になったのですから。ただしかつてのジャイアンツ、ライオンズ、ホークスのような常勝軍団となるかと言われれば、今のままでは難しいと考えます。

 

それでは岡田監督が評価された采配を見ていきましょう。

参考として主なチーム成績の2022年と2023年を比較したものを記載します。

打率:0.243⇒0.247 本塁打:84⇒84 四球:358⇒494 三振:1020⇒1173① 打点:462⇒534① 出塁率:0.301⇒0.322 盗塁:110⇒79 失策:86⇒85 防御率:2.67⇒2.66

 

①初球から振るな。四球を取れ

四球が増え出塁率が上がったことは岡田監督の手腕。優勝の要因だと解説者の皆さんは言います。一方で三振数が増えました。本塁打数も減りました。20本以上打ったのは佐藤選手のみ。

4番打者の大山選手は3年連続で20本塁打以上打っていた選手です。今年は劇的に四球が増え出塁率も上がりましたが、本塁打は19本にとどまりました。

チームの核となる魅力的な長距離砲が育ちにくいのではと推察します。

 

②守備位置の固定による守備の安定

ここ数年の阪神の課題。それは失策数の多さ。原因を守備位置をころころ変えすぎると睨んだ岡田監督は開幕当初からポジションを固定しました。では失策数を見てください。減ったのはわずか「1」

「数字にならないエラーが多かったのが減った」「併殺打を当たり前にとれるようになった」と言いますが、感覚によるもので根拠は乏しい。たしかに肩力に問題があった中野選手をショートからセカンドにコンバートし方の強い木浪選手が守ったことで併殺打が多くなった可能性はあります。セカンドレギュラーだった糸原選手は明らかにフットワークが課題だったため中野選手は上回る活躍だったと思います。

しかし失策数だけを見ると変化がなかったのが事実です。

逆に固定による弊害は、控えの選手の出場機会が著しく減ったことです。レギュラーが怪我をした時、戦力が下がる恐れがあります。また、チーム成績が上位であれば士気も高まりますが、成績が下降すると控え選手からは不満が出ます。

もっと言えば他チームや新人選手が阪神に行ってもどうせ出られないと思えば有望選手の獲得も難しくなるのでは。

 

私の考える日本一の要因は①投手力②冒険しない采配③ライバルチームの停滞④坂本捕手のリードです。

①広い甲子園を後ろ盾にして成長した絶対的な投手力。この投手力は何年にもわたり素晴らしい成績を築いています。リリーフ投手のコンディションに配慮した起用もここ数年培われたものです。

 

②打線では各打順で平均点の打者たちが、確実な采配により機能し1勝ずつもぎとってきた。

 

③2年連続優勝チームのヤクルトは主砲村上選手の不調。山田選手、塩見選手など主力の怪我。2年連続優勝による疲労、モチベーションの低下。広島は勢いはあったけど終盤怪我人続出で勝手にこけていった。巨人は世代交代の時期と原監督のマンネリ化。

 

④個人的には矢野監督時代に「贔屓采配」などと言われなき批判を浴びていた坂本捕手。コミュニケーション能力、洞察力、キャッチング、リーダーシップなど球界を代表する捕手だと思っています。彼がいなければ村上投手、大竹投手の活躍はなかったのではと思わせる凄みのあるプレーをしてくれました。個人的にはMVPをあげたいです。

 

良い面も悪い面も挙げればきりがないのですが長くなってきたので・・・この辺でやめます(笑)

 

2005年を最後に、目先の勝利を優先するあまり将来のチームビジョンが見えなくなりました。結果リーグ優勝から18年遠ざかったのではと考えます。

 

岡田監督の采配は見ていて「えっ?」と思うことが少なく間違いなく試合巧者です。

ダメージを1番抑えられる采配。

今年のように他チームが躓いてくれれば上位を常に狙える。

誤解を恐れずに言えば、戦力を育てるのは苦手。そこそこある戦力を勝てるように導くのは得意。

だから金本監督が体を鍛え上げ、矢野監督がメンタルを成長させプレー機会を与え経験を積んだ選手たちが揃ったチームをひきいると力を発揮してくれました。それだけに育成してくれた土台がどれほど大きかったのかが改めてわかります。

 

願わくば私の岡田監督評が間違いで来年は新しい選手がスタメンに名を連ねて黄金期を作ってくれると信じています。

 「勝って兜の緒を締めよ」勝ったからこそあえての苦言です。

監督、コーチ、選手、球団スタッフの皆さん日本一おめでとうございます!ありがとうございました!

 

今回も読んでくださりありがとうございました。