Vol.93 38年ぶりのアレのアレ その3

ドラフト戦略、自前で育てる環境を整えるなど球団の体質を劇的に変えてくれた金本監督の後を引き継いだのが矢野監督です。矢野監督についてはVol.37で少し触れています。そちらも良ければご覧ください。

 

矢野監督の頃になると金本監督が育てた選手が活躍したり、ドラフトで獲得した選手が1年目から結果を出したりと戦力が整い、成績が安定します。

 

矢野監督にはメンタルトレーナーの立場から期待していました。これまでのゴリゴリ体育会系野球からメンタル面にも視点をあててチームマネジメントをされているように見えたからです。

 

このマネジメントが成功し周知されればスポーツ界はもちろん会社等、日本のあらゆる組織に一石を投じることができるのではとも考えていました。

 

しかし長く根付いた習慣を打破するのは難しかった。選手の時には甘いマスクで堅実な守備、打てる捕手。優勝に2回導いてくれた苦労人は大変人気でした。2軍監督時代も「走塁」に力を入れリーグ記録を作るほどのと盗塁数。有言実行に時期監督待望論が沸き上がっていました。

それなのに・・・。

 

「ファンに喜ばれるために」というビジョンを掲げ、そのための「優勝」「頑張っている姿を見せる」という現代の経営者の考え方をもち、自主性を高めることでアドレナリンが分泌し練習効率を高めるという理論(推測です)を取り入れます。しかし、野球評論家、昔ながらのファンが期待するのは泥にまみれた練習。決して練習が少ないということはありません。キャンプ中継を見ていても他球団に劣るものではなかった。イメージって怖いですね。徐々に矢野監督への見る目が厳しいものになっていきます。

「エラーが多いのはポジションをころころ変えるからだ」今年固定しても変わらなかったでしょ。どう解説するんでしょう。まさか「目に見えないエラーが減った」などとスピリチュアルなことは言わないでしょう(笑)複数のポジションを経験することで成長した面があるはずです。スタメンを固定しすぎず、多くの選手を使ったことで各選手の経験値も上がりました。

 

「なんで捕手に坂本使うんだ、贔屓采配」いや、肩と打撃はそれほど期待できない、ブロック能力も梅野選手よりは劣るかも。けど観察力、コミュニケーション能力、チームメートからの信頼(2022年選手投票でキャプテンに)、キャッチングは12球団随一とも言わる。今年の結果が証明していますよね。

 

2021年僅差で優勝を逃し、2022年は開幕ダッシュにつまづき3位。期待が大きいだけにうまくいかないとファンからのバッシングが厳しくなる。監督1年目の頃の笑顔が消えていき、最終年は見ているのが辛くなるほど厳しい様子が映されていました。

根拠のない負の面ばかり強調されて良い面に焦点が当たらない。

 

こんなことばかり言っているから昔の体質を変えられない企業ばかりで30年も賃金が上がらないんですよ。それを政府だけが悪いみたいな言い方して。かなり飛躍しました(笑)

 

優勝こそできなかったですが、就任から4年間毎年Aクラス入りし安定した成績を出されたことは素晴らしい事だと思います。そりゃ試合観ていたら「その采配おかしいだろ」って何度もテレビに向かって吠えましたよ(笑)でも100%納得することなんてありえないじゃないですか。

俯瞰するとメンタル面のトレーニングを取り入れたマネジメントは成功したと私は考えています。

 

矢野監督は退任の会見で涙を浮かべて「僕の夢はまだ続く。また挑戦していきたい」とおっしゃいました。今後のご活躍が楽しみです。

 

ゴリゴリに若手を鍛えた金本監督、鍛えられた選手にメンタルの成長とプレーの機会をたくさん与えた矢野監督。どうやったって優勝する状況が整ったうえで就任されたのが岡田監督です。

 

次回は「38年ぶりのアレのアレ」最終回。

今回も読んでくださりありがとうございました。