Vol.72 「楽」と「楽しい」は違う

スポーツメンタルトレーナーの仕事の主な目的は選手の力を100%発揮してもらう事。

そこで大事になるキーワードの1つに「楽しむ」があります。

 

ただこの「楽しむ」という言葉にアレルギーを持つ指導者がまだおられます。

「真剣勝負に楽しむなんて言ってられない。変なことを選手に吹き込まないでくれ」と。

 

「楽しむ」ためにはワクワクする目標があり、その目標を達成するためには厳しい練習が必要。

厳しい練習はモチベーションが下がるし、嫌々やる練習は習得率が下がる。

 

日々ワクワクしているとドーパミン(幸せを感じる物質)が脳から分泌される。モチベーションが上がり学ぼうという意欲がわき習得率が上がる。科学的な根拠もある単純な話です。

苦しくても笑顔を作るだけで緊張感が緩和されることもわかっています。

 

同じ時間厳しい練習をするなら効果が高まる方法を選んだほうが良いのに・・・

と思った時、今回の題名を思い出しました。

 

私たち40代から上の世代では「ブルーハーツ」「ハイロウズ」少し下の世代の方には「クロマニヨンズ」などで活躍されている甲本ヒロトさんがおっしゃった言葉です。

『「楽しい」と「楽」は違うよ。「楽しい」と「楽」は対極だよ。楽しいことがしたいんだったら楽はしちゃだめだと思うよ』

 

「楽しむ」ことと「楽」をすることを一緒にしている人がたくさんいるのかもしれません。

 

一番大切なのは私たちがワクワクする夢や目標に対してたどり着こうと努力すること。

道は果てしなく、厳しい。この厳しさを乗り越えるためにメンタルトレーニングはあります。

どうしても「楽しい」だけが一人歩きすると厳しさの部分を排除していると思われるのかもしれません。

本当に「楽しむ」ためには厳しさが必要です。その厳しさを乗り越えるためにまた「楽しさ」があると思うんです。

 

今の10代、20代の選手は様々な媒体から情報を収集し知識は私たちより豊富です。

ただすべてが正しいとは言えないし、使い方を間違えばマイナスになりかねない情報もたくさんあります。

指導者がいつまでも古い考えだけでいては選手も不安になります。常に学び、何が選手にとって良いものか選択して提示する柔軟な気持ちをもつと良いかもしれませんね。

 

・・・と説教がましくなりましたが、私が日々反省していることです(笑)

今回も読んでくださりありがとうございました。